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新しい年2003年 五箇山集落
上の絵は富山県の五箇山集落である。先ほど世界遺産にも指定され、私が取材した時は8月の時期でもあり観光客がたくさん来ていた。道のりも結構遠かったが山奥の誰もいない静かな山村という風にはいかなかった。まだ、世界遺産として有名になっていないときはもっと風情があっただろうと思われた。けれども萱葺き屋根や土壁には温もりを感じた。日本中珍しい場所があると観光客が押し寄せ、(私もそのひとりかも知れないが)その場所が喧騒に包まれお金儲けの対象となってしまう。この場所はそっと静かにしておいてほしい場所でもある。この村も文化財としてきれいに修理、保存されてはいるけれど古色を帯びた風情は無くなっておりそこには滅びの美が無くなりつつあるのである。すなわち、物が朽ちるときの物の哀れの美学である。
 日本は木造建築だったからかも知れないが戦後、古くなったものをどんどん壊し、そこには合理性だけを考え無味乾燥なコンクリート建築だけが建設されていく傾向にあった。残念なことである。ヨーロッパなどでは古代建築も古くてよいものは大切に保存され後世まで大事に受け継がれており美しい景観美を保っている。
 私の絵は写実的なものを多く描いてきた。今回は描写的ではなく形態のみを借り、色彩の開放、自分の色で描くよう試みた。古色美を出そうと絵の具を何度も塗り重ね壁の温もりを出そうとした。いつも代わり映えしないように見える絵であるがその都度何かを試みている。
 2003年はどんな展開になるのかまったくわからないが、絵を描くことは心の中で自分自身の確認であり、自ら試み挑戦することが大切であると自分に言い聞かせている。
 2003年が皆さんにとってよい年でありますように。
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