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起承転結 南仏の坂道
 過去に描いた絵を再度描いて見た。以前は小品の6号であったが、大きく描いて見たい気持ちが湧き上がり40号で試みた。南仏のカニュ・シュメールの町である。坂道を登ると丘の上にはシャトウ美術館、シャトウ広場がある。結構急な坂道である。絵には古色を帯びた白い建物と遠くには南仏の紺碧の海が見える。昼下がりの坂道を一人の女性がぶらぶら歩いて下りていくといった設定である。実際白い壁は実在したが遠くの海は少ししか見えなかった。一人の女性も架空である。キャンバスに構図として画面を決定して行く上で遠くの町並みを少し下げ、蒼い海が見えるようにした。近景のポイントとして点景人物を加えている。同じような場所を探したがどこにもなかったと言われたことがある。当然いいように創作しており色や構図が違えばまったく異なって見える。
 わたしは風景を描く時起承転結ということを考え構図することがある。この言葉を辞書で引くと漢詩の絶句の作法で、一句で言い始めたことを二句で受け、三句で展開し、四句でまとめる構成法であると記してある。絵にも物によっては当てはまると考える。絵の中に近景、中景、遠景を考えるのは当然であるが構図の中にも変化を求める。近景が人物、建物で「起」、坂道や中景の建物が「承」で遠景の蒼い海へと「転」じと、山並み、空へと「結」していく。まとまり過ぎて面白くなくなる時もあるが手垢で汚れたような壁、紺碧の海を対比させ、まとまりも出たように思う。 

※カニュ・シュメールについて
カンヌとニースのほぼ中間、紺碧海岸の小さな港町。丘の上にシャトウ広場を中心に広がっておりモジリアニーやフジタが愛した町。ルノワールが晩年を過ごしたコレット荘もある。
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